「リバーブは何秒かければいいですか?」「コンプのアタックタイムはいくつが正解ですか?」——DTMや歌ってみたを始めると、こういう質問をしたくなる気持ち、よくわかります。でも、その「正解を求める」姿勢こそが、DTMで上達できない本当の理由かもしれません。
「正解を教えてください」——その質問がDTM・歌ってみたの上達を止めている
目安とか数値とか教えてもらえないですか?
リバーブにはホールやプレートといった種類があるよね。
どちらが正解で間違いという基準があると思うかい?
印象が変わるだけで、どちらが好みかという話じゃないかな。
リバーブに限った話ではありません。EQ・コンプ・ディレイ……DTMのあらゆる判断に「絶対的な正解」はありません。
にもかかわらず、多くの初心者が正解を求めてしまいます。なぜでしょうか。
あれは正解を教えてはいるんだけど、見ている人にとって儀式になってしまっているんだ。
意味もわからずその設定をそのままやる。
問題と解決策が結びついていないから、いつまでたっても「なんかうまくいかない」が続くんだよ。
「歌がよくない」をもっと言語化できれば、コンプではなくEQやリバーブが解決策になることもある。
正解はない。でも前提条件はある。
何でも好き勝手にやっていいってこと?
例えば録音レベルは-18dBが基準。これは放送業界の基準から来ているんだよ。
YouTubeに投稿するなら-14LUFSという音量の基準もある。
本家のピッチも前提条件だよ。
でもそこからどう歌うかには正解はないでしょ?
自分の正解:自分の意図通りにできたかどうか
【-14LUFSとは】YouTubeが推奨する音量の基準値。これを大きく外れると自動で音量が調整されてしまう。
この2つは別物。前提条件を守った上で自分の意図を追求する。
前提条件を守らないと、土台が崩れやすい。
自分なりに崩して歌いたいならそれもいい。
最初は意図がなくてもいい。
リファレンス曲を模倣することから始めればいいんだよ。
模倣を繰り返す中で、自分の意図が少しずつ育っていくんだ。
どちらが正解かじゃなくて、「自分はどうしたいか」を考えることが大事なんだよ。
自分の意図通りにできた=自分の正解。
自分の意図とは違う=自分の不正解。
判断するのは自分の意図だけなんだ。
上達の本質は「言語化」と「ABテスト」の繰り返しにある
初心者には意図なんてないと思うんですけど……
「これ甘すぎる」「もうちょっと塩気が欲しい」って自然に言葉が出てくるでしょ?
音も同じだよ。
「このリバーブ長すぎる」「もう少し深い方がいいかも」「もっとあっさりにしたい」——そう言葉にできれば、次に何を調整すればいいかが見えてくるんだよ。
↓
② 言語化する(「声が埋もれる気がする」「なんか違和感がある」など)
↓
③ ABテストで比べる※
↓
④ また聴いて言語化する
↓
① に戻る
失敗しても全然怖くない。
思い切りいじり倒せる環境が最初から整っているのに、みんな正解を探してそこに辿り着こうとしてしまう。
もったいないよ。
失敗から得られるものはたくさんあるんだよ。
まず自分の耳が育つ。
人の評価をもらうことで認識が広がる。
失敗を糧にするメンタルも育つ。
知識よりも経験なんだ。
失敗を恐れず経験することだよ。
やり方がわからなくて止まっているなら、道場で話しかけてみてください。
やさしいDTM道場の門をたたく自分の正解と「人に受け入れられるか」は別の話だ
自分の意図通りに作れた。でも、それが人に届くかどうかはまた別の話です。
自分の正解と、人に受け入れられるかは別物なんだ。
自分の意図通りにできていないのに「人に受け入れられるかどうか」を気にしても意味がない。
でも自分の意図通りにできても、人に刺さるかどうかはまた別の話だよ。
自分の正解を積み上げていく段階と、それを人に届ける段階——この2つは順番があります。まず自分の意図通りに作れるようになること。その次に、それが人に届くかどうかを確認することです。
だからリファレンス曲を使うんだ。
自分の曲と雰囲気が近くて、みんなに受け入れられている曲を選んで、しっかり分析する。
そのリファレンス曲と自分の作品を比べることで、世の中の基準に対して自分がどこにいるかがわかってくるんだよ。
聴き比べる際は「音量感・音質・リバーブなどの処理」に着目する。音質は「ガサガサしている」「はっきりしている」「なめらか」など、自分の言葉で表現できれば十分だ。自分の作品と繰り返し聴き比べることで、「人に届く音」の基準が少しずつ自分の中に育っていく。
OzoneとNeutronはAIが自動でミックスのバランスを整えるプラグイン(別途購入)。AIがリファレンス曲を分析して自動で処理を近づけてくれる機能を持つ。ただし、使うだけで終わってしまうと思考停止と同じ。AIがどんな処理をしたかを自分で確認することが大事だ。
言語化できれば、レッスンで解決策はすぐ出てくる
生徒が「もっと深くしたい」「なんか浮いてる」と感じたことを言葉にしてくれれば、やり方は僕の経験からすぐ出てくるよ。
言語化できれば、解決策はすぐ見つかるんだ。
「正解を教えてください」ではなく「こうしたいんだけどどうすればいいか」——この違いが、レッスンの成果を大きく変えます。言語化の力は、独学でもレッスンでも、上達の鍵になります。
言語化の練習に最適な記事はこちら。EQ・コンプ・リバーブをいじりながら、自分の耳で判断する感覚を育ててみてください。
コンプレッサーについてはこちら。
独学とレッスンの違いについてはこちら。
📝 第30回のまとめ
- 正解を求めることは思考停止。言語化とABテストの繰り返しが上達の本質。DAWは元に戻せるから、失敗を恐れずいじり倒すことで耳・認識・メンタルが育つ
- 正解はないが前提条件はある。自分の意図通りにできたかどうかが自分の正解であり、YouTubeの設定をそのまま真似することとは根本的に違う
- 自分の正解と人の評価は別物。リファレンス曲との比較で「人に届く音」の基準を少しずつ育てていく
正解を求めることをやめる。それだけで、今日から何かが変わり始めます。
「なんかうまくいかない」を言葉にするところから始めてみませんか。
言葉にできなくても大丈夫。一緒に考えます。

