せいいち先生とクロちゃんのDTMを斬る 第25回|Cubaseでハモリを自動生成する方法|コード修正のコツも解説

「ハモリを自分で作れたらいいな」と思ったことはありませんか?
実はCubaseには、コード進行を解析してハモリを自動生成してくれる機能があります。
コードの知識がなくても、コード進行を調べながら進められるので大丈夫。今回はせいいち先生に、その手順を一から教えてもらいました。

ハモリって何ですか?

先生、ハモリって言葉はよく聞くんですけど、そもそもハモリって何ですか?
ハモリは「コーラス」のことだよ。
主旋律に対して違うメロディを重ねること、または別の人が歌った同じメロディを重ねること、この両方を指してハモリと呼んでいるんだ。
え、違うメロディと同じメロディ、両方ともハモリって呼ぶんですか?
厳密には違うんだけど、日本ではまとめてハモリと呼ばれているんだ。
正確には、違うメロディを重ねるのが「ハーモニー」、同じメロディを重ねるのが「ユニゾン」。
でも日本では両方を「ハモリ」とくくって呼ぶことが多いよ。
📖 用語解説:ハーモニー/ユニゾン
ハーモニー:主旋律に対して違うメロディを重ねること。
ユニゾン:別の人が同じメロディを重ねること。
日本ではどちらも「ハモリ」とまとめて呼ばれることが多い。

CubaseでハモリをAI自動生成する手順

Cubaseで自分でハモリを作れるって本当ですか?
本当だよ。
Cubaseの機能を使って自動生成する方法を教えるよ。
手順通りに進めていこう。
📖 対応グレード
今回紹介するハーモニーボイス生成機能は、Cubase ProおよびArtistで使用できます。
またオーディオイベントからコードイベントを作成する機能はCubase 12以降が必要です。
つまりこの記事の手順を全て行うには、Cubase ProまたはArtistのバージョン12以降が必要です。
⚠️ 作業前の前提条件
ハモリを作る前に、メインボーカルのピッチが正確に修正されていることを確認してください。
ピッチが乱れたままハモリを作ると、音が濁ってしまいます。VariAudioでのピッチ修正がまだの方は先に第24回の記事を参照してください。

📋 全体の流れ

STEP1|インストイベントを選択する
STEP2|コードトラックを自動生成する
STEP3|HALion Sonicでモニター設定する
STEP4|タイミングのずれを修正する ⚠️ 最重要
STEP5|コードの間違いを修正する ⚠️ 最重要
STEP6|ハーモニーボイスを生成する

STEP1:ハモリをつけたい部分のイベントを選択する

まずコード解析の対象となるインスト(カラオケ音源)のオーディオイベントを選びます。曲全体ではなく、ハモリをつけたい部分だけに絞るのがポイントです。

まず何をするんですか?
最初にハモリをつけたい部分のインスト(カラオケ音源)のオーディオイベントを選択するよ。
歌が混ざっていてもコード解析はできるんだけど、その時点でカラオケ音源があるわけだから、わざわざコードを解析して作る必要がないよね。
だからインストのイベントで解析するんだよ。
曲全体をやるのではなく、サビだけとか、ここだけ、って感じで目星をつけた部分だけ選択するのが効率的だよ。
全部やらなくていいんですね!
この後コードの修正作業が出てくるんだけど、これが初心者には一番大変なポイント。
だから最初から全体をやろうとせず、ハモリを入れたいところだけに絞るのが賢いやり方だよ。

STEP2:コードトラックを自動生成する

選択したイベントを右クリックして「コードイベントを作成」を選ぶだけで、CubaseのAIがコードを解析してコードトラックを自動生成します。

イベントを選択したら次は何をするんですか?
選択したイベントの上で右クリックして、メニューの中ほどにある「コードイベントを作成」をクリックするよ。
するとCubaseがAIでコードを解析して、コードトラックを自動で作ってくれるんだ。
AIが自動でコードを読み取ってくれるんですね!
そう。
ただAIだから100%正確ではないんだ。
後でコードの修正作業が必要になるよ。
修正するためにコードを耳で確認したいんですけど、音が鳴らないと確認できないですよね?

STEP3:コードをモニターするための音源を設定する

AIが解析したコードが正しいか耳で確認するため、HALion Sonicをコードトラックに接続します。

モニター用の音源ってどうやって設定するんですか?
3ステップだよ。
①トラックリストの空白部分を右クリック→「インストゥルメントトラックを追加」を選択。
ダイアログが開いたら「Steinberg」→「Synth」→「HALion Sonic」を選んでトラックを追加する。
HALion SonicはCubase ProおよびArtistに付属している音源だよ。
文章にすると難しく見えるけど、慣れれば無意識でできるよ。
基本操作がわからない場合は道場で気軽に聞いてね。
②コードトラックのトラックリスト上にある「モニターしているトラックを。」の▼をクリックする。
③表示されたトラック名の一覧から、①で立ち上げたHALion Sonicのトラック名を選択する。
これで再生するとコードがHALion Sonicのピアノ音で鳴るようになるから、耳で確認しながら修正できるようになるよ。
なるほど!再生しながらコードが合っているか確認できるんですね。

STEP4:タイミングのずれを修正する

AIの解析はタイミングがずれていることがあります。クオンタイズを使えば一気に修正できます。

コードの修正って、どんなことをするんですか?
AIが解析したコードは100%正確ではないから、STEP4とSTEP5の2つのステップでコードを修正していくよ。
まずSTEP4ではタイミングのずれを直していこう。
コードの切り替わりタイミングがずれていることがあるから、選択ツールのままコードイベントをドラッグしてずらして合わせる。
全体を一気に直したいときは、①トラックリスト上の「スケールを表示」がONになっている場合はOFFにしてからコードイベントを全選択する→②プロジェクト画面上部のクオンタイズ設定を「1/2」に変更する→③キーボードの「Q」を押す、この順でやると時短になるよ。
クオンタイズ後にコードイベントが重なることがあるけど、ドラッグでずらすか、いらないものを消せば解決するよ。
💡 時短テクニック
クオンタイズは完璧ではありません。全体的なずれは解消できますが、細かい部分は手作業で確認しましょう。

STEP5:コードの間違いを修正する

AIが間違ったコードを当てはめることがあります。コード進行を参考サイトで確認しながら修正していきます。

STEP5はコードの間違いの修正ですね。どうやるんですか?
そうだよ。
AIが間違ったコードを当てはめてしまうことがあるから、U-フレットで確認しながら修正していくよ。
このとき注意してほしいのが、U-フレットは原曲のキーと違うキーで掲載されているものがあること。
キーを合わせる機能がU-フレット内にあるから、必ず原曲と同じキーに合わせてから確認してね。
キーの合わせ方はU-フレットのサイト上で確認してください。
自分の曲のキーがわからない場合はどうするんですか?
一度曲全体のインストイベントでコード解析を行ってみてね。
コードトラックの「スケールを表示」をONにするとキーが表示されるよ。
確認したら「スケールを表示」はOFFに戻してから作業を続けてね。
キーが確認できたら、実際にコードはどうやって修正するんですか?
コードネームをダブルクリックするとダイアログが開くよ。
左から順に、ルート音(CやDなど)→コードタイプ(majやminなど)→テンション(7やb5など)→ベース音の順にクリックして選んでいくだけ。
U-フレットで確認したコードと同じになるように選んでね。
U-フレットに載っていない曲や、コードが合わない場合は他のコード進行紹介サイトを探してみてね。
それでも解決しない場合はコード理論を学ぶ必要があるよ。
コードが合っているかどうか、自分で判断できるか不安です…
それが一番の難関だよ。
コードの正解がわかるようになるには、コード理論の知識が必要なんだ。
僕は、ピアノ教室で1年かけて習うようなコード理論を1時間で習得するメソッドを持っているよ。
これはレッスンで教えているよ。

「コードの正解がわからない」という壁を感じたら、
やさしいDTM道場に入門してみてください。
テキストで答えられる内容は無料で相談できます。

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STEP6:ハーモニーボイスを生成する

コードの修正が完了したら、いよいよハモリを生成します。ボーカルのイベントを選択してメニューから実行するだけです。

コードの修正が終わったら、いよいよハモリを作るんですね!
そうだよ。
ピッチ修正が済んでいれば、いよいよハモリを生成できるよ。
STEP1でコード解析した範囲と同じ部分のボーカルイベントを選択して、画面上部のメニューバーから「Audio」→「ハーモニーボイスを生成」を選ぶよ。
コード解析はインストに対して行ったけど、ハモリはボーカルに対して作るものだから、ここではボーカルのイベントを選択するよ。
ダイアログが開くから、ボイス数を設定してOKを押すだけ。
ボイス数って何個にすればいいですか?
まずは3から試してみるといいよ。
いらないと思ったトラックは後で消せばいいから、多めに作っておいて選ぶほうが効率的だよ。
「ビブラートを弱める」はどう設定すればいいですか?
デフォルトのままでいいよ。
デフォルトは80%軽減の設定になっているよ。
弱めないとソウルフルな黒人コーラスみたいになるんだ(笑)
ちょっとうっとうしくなるから、デフォルトのままが無難だよ。
慣れてきたらいろいろ試してみると成長につながるよ。
OKを押したらどうなるんですか?
設定した数のハモリトラックが、新しいトラックとして自動で追加されるよ。
ただしそのままでは音量が大きすぎて使えないから、音量調整とパンを振る作業が必要になるよ。
そこはミックスの範囲になるね。
生成されたハモリはVariAudioで調整することもできるよ。
ただし音程の判断力がないと、かえっておかしくなることもある。
まずはこのまま使ってみて、物足りなくなったら道場で相談してね。

このやり方の限界と、その先へ

これだけで自分が思い描いたハモリが全部作れるようになりますか?
コード進行に沿ったハモリは作れるようになるよ。曲にはしっかりはまるし、十分実用的だよ。
ただ、独創的なハモリ——「ここはあえてこう動かしたい」みたいな自分だけのアイデアは、この方法では自動では作れないんだ。
自由なハモリを作りたいときはどうすればいいんですか?
音楽理論を勉強して、さらに耳を鍛える必要があるよ。
僕はピアノ教室で1年かけて習うようなコード理論を1時間で習得するメソッドを持っているよ。
これはレッスンで教えているから、興味があればレッスンで話しましょう。

📝 今回のまとめ

  • ハモリとは主旋律にメロディを重ねること。正確にはハーモニー(違う旋律)とユニゾン(同じ旋律)があるが、日本ではまとめてハモリと呼ぶ
  • Cubase ProとArtistには、コード進行を解析してハモリを自動生成する「ハーモニーボイスを生成」機能がある
  • 手順:①ハモリをつけたい部分のイベントを選択→②コードトラックを自動生成→③HALion Sonicでモニター設定→④タイミングのずれを修正→⑤コードの間違いを修正→⑥ハーモニーボイスを生成
  • 最重要はSTEP4とSTEP5のコード修正。タイミングのずれとコードの間違いの2種類を修正する
  • ハモリ生成前にメインボーカルのピッチが正確であることが前提条件
  • コード進行に沿ったハモリは作れるが、独創的なハモリを作るには音楽理論と耳の訓練が必要

ハモリ作りの前段階、ピッチ修正の詳しいやり方はこちら。

📄 関連記事を参照
せいいち先生とクロちゃんのDTMを斬る 第24回|ピッチ補正のやり方|CubaseのVariAudioを使った手順と判断力の育て方
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ハモリを作れるようになったら、次は「自分らしいハモリ」を目指してみませんか。
音楽理論が気になったら、やさしいDTM道場で気軽に質問してください。

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この記事を書いた人

せいいち先生
DTMは、まず手順。
センスや感覚は、その後でいい。
1人でも多くの人と、音楽の世界を歩きたい。
わからないことは何でも聞いてください。
現役30年のプロが、あなたに伴走します。

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