せいいち先生とクロちゃんのDTMを斬る 第29回|歌ってみたのミックスとは何か|エディット・アレンジとの違いを現場エンジニアが解説

せいいち先生とクロちゃんのDTMを斬る 第29回|歌ってみたのミックスとは何か|エディット・アレンジとの違いを現場エンジニアが解説

「録音が終わったら次はミックス」と言われても、そもそもミックスって何をする作業なのかわからない。
ミックス師に頼めばいいのか、自分でやるべきなのか。エディットとの違いも曖昧なまま、なんとなく作業を始めていませんか?
せいいち先生に聞いてみたら、ちょっと意外な答えが返ってきました。

目次

ミックスって何をする作業ですか?

せいいち先生!録音が終わって「次はミックス」って言われたんですけど、そもそもミックスって何をする作業なんですか?
ミックスはカラオケ音源と歌を混ぜて、聞きやすくする作業だよ。
カラオケが大きくて歌が小さければ聞きづらい。
その音量バランスを整えるのがミックスの本質だね。
音量バランスを整えることがミックスなんですね。なんかもっと複雑なことをするのかと思ってました!
本質はそこだよ。
EQ(イコライザー)でこもりを取ったり、コンプレッサーで音量のばらつきを抑えたりすることもあるけど、それも全部「聞きやすくする」ための音量調整に過ぎない。EQは帯域ごとの音量を、コンプレッサーはスレッショルド以上の音量を調整するんだよ。
目的を忘れて手段に溺れる人が多いんだよね。
📌 ミックスとは
カラオケ音源と歌声を混ぜて、聞き手に意図通りのリスニング体験を届けるための音量調整作業。EQ・コンプレッサーなどのエフェクトも、すべて「聞きやすくする」という目的のための手段。
📌 用語メモ
EQ(イコライザー):帯域ごとの音量を調整するツール。こもりを取ったり、耳障りな音を抑えたりするのに使う。
コンプレッサー:スレッショルド(しきい値)以上の音量を自動で抑えるツール。音量のばらつきを均一に整える。
スレッショルド:コンプレッサーが働き始める音量の境界値。この値を超えた音だけが圧縮される。

エディット・ミックス・アレンジは別物

あの、ミックスとエディットって同じじゃないんですか?歌ってみた界隈だと「ミックス師」がピッチ補正も全部やってくれるイメージがあって…。
それはよくある誤解だね。
エディットとミックスとアレンジは、本来は別々の作業なんだよ。
ミックス師が一緒にやってくれることが多いから混同されているだけで、性質が全然違う。
どう違うんですか?
エディットは録音した歌を加工する作業だよ。
ピッチのズレを修正したり、タイミングを整えたりする。
ミックスは音量を調整する作業だよ。
アレンジはハモリを作ったりリバーブをかけたりする、音楽的な加工だね。
🎵 3つの作業の違い
エディット|録音した歌を加工する(ピッチ補正・タイミング補正)

ミックス|音量を調整する(音量バランス・EQ・コンプレッサー)

アレンジ|音楽的な加工をする(ハモリ・リバーブ・ディレイなど)※ミックスと並行して行うこともある
じゃあ順番はエディット→ミックス→アレンジってことですか?
基本的にはエディット→ミックスの順だよ。
ピッチやタイミングを整えてから音量を調整する。
アレンジはミックスと並行してやることもあるし、ミックスが終わってからやることもある。

エディットについてはこちらで詳しく解説しています。

📄 関連記事を参照
第14回|歌ってみたのエディットとは何か
👉 続きを読む

エディット・ミックス・アレンジの違いがわかった。
でも実際にどこから手をつければいいかわからない。
そんな疑問はDTM道場で気軽に相談してください。

やさしいDTM道場の門をたたく

ミックスとは魔法ではない|正しい期待値を持とう

ネットで「ミックスをすれば歌が化ける」みたいな情報をよく見かけるんですけど、本当ですか?
それは誤解だよ。
ミックスは音量調整の技術であって、魔法じゃない。
良い録音・良いエディットがあってはじめてミックスが活きる。
ミックスの役割は「制作の意図を正確に届けること」であって、それ以上でも以下でもない。
じゃあ「ミックスすれば素晴らしい作品になる」っていうのは嘘なんですか?
嘘とは言わないけど、正確じゃないね。
正しくは「ミックスをすれば、意図に応じたリスニング体験を聞き手に届けることができる」だよ。
ミックスに過度な期待をしなければ、無駄な時間とお金を使わずに済む。
🎙️ 現場30年から見たミックスの現実

「ミックスをすれば歌が上手くなる」という期待で依頼してくる人が多い。
でも現場での事実はこうだ。ミックスは音量調整の技術。良い録音と良いエディットがあってこそ活きる。
正しい期待値を持つことが、良い作品への近道だ。

じゃあミックス師に頼む場合は、どうすればうまくいくんですか?
「どこがどう気になるか」を具体的に言語化することが大事だよ。
「いい感じにしてください」という依頼では、ミックス師も動きようがない。
自分の歌に向き合って、完成イメージを持つことが先なんだよ。

ミックス師への依頼についてはこちらで詳しく解説しています。

📄 関連記事を参照
第13回|ミックス師に依頼してもうまくいかない理由
👉 続きを読む

自分でミックスする意味

じゃあ自分でミックスを覚えた方がいいんですか?
自分でミックスできるようになると強いよ。
自分の完成イメージを100%反映できるし、依頼コストも発生しない。
何より「何がおかしいか」を判断する力が育つ。
でも難しそう…クロちゃんには無理かも。
「ミックス師の仕上がりが思ってたのと違う」と感じたことがあるよね?
その時点でクロちゃんはもう判断しているんだよ。
「自分には判断できない」と言いながら、ミックス師の作品は判断できている。
あとは手順を知ることだね。
…あ、確かに!それって判断力はもうあるってことですか?
そう。
整理するとこうなるよ。
🎯 自分でやる方が有利な理由
自分の強み:完成イメージを持っている(正解の地図を持っている)
ミックス師の強み:技術力がある
ミックス師の弱み:正解の地図を持っていない

技術さえ身につければ、自分でやる方が圧倒的に有利になる。
でも上手くなったらミックス師に頼むこともありますか?
もちろん。
自分でできるようになった後に依頼するのは合理的な選択だよ。
他人のミックスを見ることで勉強にもなるしね。
手順を知った上での依頼は正確な指示ができるから、仕上がりのズレも起きにくくなる。
Q|ミックスをすれば歌が上手く聞こえるようになりますか?
ミックスは音量調整の技術であって、歌の上手さを変えるものではありません。
良い録音・良いエディットがあってはじめてミックスが活きます。
「ミックスで化ける」という情報は誇張が多いので、正しい期待値を持って取り組むことが大切です。
Q|エディットとミックスはどちらを先にやればいいですか?
基本はエディット(ピッチ補正・タイミング補正)→ミックス(音量調整)の順です。
ピッチやタイミングを整えてから音量を調整する方が、作業の判断がしやすくなります。

📝 この記事のまとめ

  • ミックスとはカラオケと歌を混ぜて聞きやすくする音量調整の作業
  • エディット(ピッチ・タイミング補正)・ミックス(音量調整)・アレンジ(ハモリ・リバーブ)は別々の作業
  • 基本の順序はエディット→ミックス
  • 「ミックスすれば素晴らしい作品になる」は誤解。ミックスは魔法ではなく音量調整の技術
  • 良い録音・良いエディットがあってはじめてミックスが活きる
  • 自分でミックスできるようになると、完成イメージを100%反映できて強い

ミックスの概念がわかったら、次は実際の作業に進みましょう。音量バランスのやり方はこちらから。

📄 関連記事を参照
第20回|歌ってみたの音量バランスってどうやるの?現場エンジニアが教えるずるいミックス方法
👉 続きを読む

ミックスの概念がわかったら、次は実際に手を動かしてみることが大事です。
やり方がわからないこと、判断に迷うことは全部DTM道場で聞いてください。

やさしいDTM道場の門をたたく

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

せいいち先生
DTMは、まず手順。
センスや感覚は、その後でいい。
1人でも多くの人と、音楽の世界を歩きたい。
わからないことは何でも聞いてください。
現役30年のプロが、あなたに伴走します。

目次