せいいち先生とクロちゃんのDTMを斬る 第4回|安いオーディオインターフェースで十分な理由

せいいち先生とクロちゃんのDTMを斬る 第4回|安いオーディオインターフェースで十分な理由

「オーディオインターフェースは高いものを買った方がいい音になりますか?」——生徒からよく受ける質問のひとつです。
現場歴30年のせいいち先生の答えは明快です。「YAMAHA URX22Cで十分。理由を説明するよ。」
今回はオーディオインターフェースの仕組みから、高いものとの本当の違いまで徹底的に聞きました。

この記事でわかること
  • オーディオインターフェースについている機能とその役割
  • レイテンシとは何か・どうすれば改善できるか
  • デジタル音質を決めるサンプリングレートとビット解像度
  • YAMAHA URX22Cで十分な理由
  • 高いIFとの本当の違い

オーディオインターフェースについている機能

オーディオインターフェースって値段がピンキリですよね。
高いものと安いものって何が違うんですか?
機能が違うんだよ。
まずオーディオインターフェースについている機能を順番に説明するね。
必ずついているものと、ついていたりついていなかったりするものがあるんだ。
まず必ずついているのがAD変換とDA変換だよ。
AD変換はアナログ信号をデジタルに変換すること。
DA変換はデジタル信号をアナログに変換すること。
マイクなどから取り込んだアナログ信号をデジタルに変換してパソコンで処理し、処理したデジタル信号をアナログに変換してスピーカーやヘッドフォンから再生するという仕組みだよ。

続いて、ついていたりついていなかったりする機能を表でまとめるね。

機能 役割 初心者への必要度
マイクプリアンプ マイクの小さな信号をラインレベルに増幅する 必須。これがないとマイクが使えない
ファンタム電源 コンデンサーマイクに電源を供給する SM58(ダイナミックマイク)を使う場合は不要
ヘッドフォンアンプ ヘッドフォンで十分な音量を得るために信号を増幅する ヘッドフォン端子があれば大体搭載されている
デジタル入出力 ADATやSPDIFで入出力を増やす 初心者には不要
DSP 音処理に特化したチップ。パソコンの負荷を減らしレイテンシを改善する 録音には必須
ダイレクトモニタリング マイクからの信号を分岐してパソコン処理前のモニター用信号を作る 録音には必須
DSPとダイレクトモニタリングが録音に必須なんですね!
レイテンシって何ですか?
クロちゃんがマイクに向かって「あ」って言った瞬間を考えてみて。
声→マイク→マイクレベル信号変換→マイクプリ→ラインレベル変換→AD変換→パソコンに記録・リバーブなどの処理→DA変換→ヘッドフォンから聞こえる、という処理をしているんだよ。
これだけの処理があるから必ず遅れが発生するんだ。
声を出した瞬間とヘッドフォンで聞こえる瞬間のズレのことをレイテンシというんだよ。
自分の声がヘッドフォンで遅れて聞こえたら気持ち悪くて歌えないですね!
DSPがあるとそのズレが小さくなるんですか?
そうだね。カラオケのエコーをイメージしてみて。
あれはリアルタイムで音が返ってくるよね?
DSPで処理すると同じように遅延が少なくエフェクトがかかるんだ。
さらにダイレクトモニタリングはマイクからの信号を分岐して、パソコンを通す前のモニター用信号を作ることで、さらに遅延を少なくできるんだよ。
📖 用語解説:マイクプリアンプ

マイクが変換した電気信号(マイクレベル)はとても小さい。
これをパソコンで処理できる大きな信号(ラインレベル)に数十倍増幅するのがマイクプリアンプの仕事。
Neve・API・SSLなどが有名な単体機器として販売されている。IFに搭載されているものもある。

レイテンシについて詳しく知りたい方はこちらも参考にどうぞ。

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第11回|歌ってみた録音のやり方|現場エンジニアが教える3つの秘密
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デジタル音質を決める2つの要素

オーディオインターフェースの音質って何で決まるんですか?
少し視点を変えるね。CDっていい音だと思う?
はい、いい音だと思います!
CDはさらに上があって、ハイレゾ音源というものがあるんだ。
デジタルの音質はサンプリングレートとビット解像度という2つの数値で決まるんだよ。
CDは44.1kHz・16bitで、1秒間に44,100回音を分析して16bitで変換しているんだ。
ハイレゾはその数値が大きくて、標準で96kHz・24bit、高精細になると192kHz・24bitになるよ。
数値が大きいほど細かく音を記録できるということですね!
規格 サンプリングレート / ビット解像度 特徴
CD 44.1kHz / 16bit 一般的な音楽CD
ハイレゾ標準 96kHz / 24bit CDを超える高音質
高精細ハイレゾ 192kHz / 24bit 最高峰の音質規格
YAMAHA URX22C 32bit / 192kHz 高精細ハイレゾを超えるスペック
えっ!YAMAHA URX22Cって高精細ハイレゾより上のスペックなんですか!?
そうなんだよ。
音質のスペックという観点ではURX22Cは十分すぎるくらいなんだ。

YAMAHA URX22Cで十分な理由

URX22Cは歌ってみたに必要な機能が全部入っているんだよ。
AD・DA変換、マイクプリアンプ、ヘッドフォンアンプ、DSP、ダイレクトモニタリング。
デジタル入出力だけないけど、初心者には不要だからね。
音質スペックは32bit・192kHzでハイレゾを超えている。
これで十分じゃない?
十分すぎますね!でも「IFを変えたら音がよくなりますか?」という疑問が残ります。
実は生徒からよく受ける質問なんだけど、IFの本質的な機能はAD・DAなんだよ。
この点においてはURX22Cも高価なIFも必要十分なんだ。
「IFを変えたら音がよくなる」という話はマイクプリやクロックなどの付属機能にフォーカスした話なんだよ。
💡 URX22Cの機能まとめ

✅ AD・DA変換(必須)
✅ マイクプリアンプ(必須)
✅ ヘッドフォンアンプ(必須)
✅ DSP(録音に必須)
✅ ダイレクトモニタリング(録音に必須)
✅ 32bit / 192kHz対応(ハイレゾを超えるスペック)
❌ デジタル入出力(初心者には不要)

マイク選びについてはこちらも合わせて読んでみてください。

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第6回|マイクの誤解を斬る。コンデンサー一択は本当か?
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高いIFとの本当の違い

せいいち先生はどんなオーディオインターフェースを使っているんですか?
メインはAPOLLO X6を使っているよ。
価格は約40万円くらいするんだ。
40万円!URX22Cの26,000円と比べると全然違いますね。
どこがそんなに違うんですか?
価格の差はDSPの性能、unisonプリアンプ、UADプラグインなどの付加機能にあるんだよ。
音質そのものに払っているというよりは、付加機能に払っているという感じだね。
じゃあ音質自体はそれほど変わらないんですか?
少し乱暴な言い方になるけど、音の好みはURX22Cの方が好きかもしれないと感じることもあるよ。
APOLLO X6は塊感があるまとまった音でapolloっぽいなって感じ。
URX22Cは少し硬さはあるものの広がりがあって無色透明な感じなんだ。
40万円のIFより26,000円のIFの音が好みということもあるんですね!
そうなんだよ。道具を揃えただけでいい音が手に入るほど甘い世界ではないしね。
URX22Cでいい作品を作っている人はたくさんいるよ。
💡 高いIFとURX22Cの違い

AD・DAの音質:どちらも必要十分。本質的な差はない
価格差の正体:DSPの性能・unisonプリアンプ・UADプラグインなどの付加機能
せいいち先生の本音:音の好みはURX22Cの方が好きかもしれないと感じることもある

機材全体の選び方が気になる方はこちらもどうぞ。

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✅ この記事のまとめ
  • オーディオインターフェースに必ずついているのはAD変換・DA変換
  • 歌ってみたに必要な機能:マイクプリ・ヘッドフォンアンプ・DSP・ダイレクトモニタリング
  • SM58(ダイナミックマイク)を使う場合、ファンタム電源は不要
  • レイテンシとは声を出してからヘッドフォンで聞こえるまでのズレのこと。DSPとダイレクトモニタリングで改善できる
  • デジタル音質はサンプリングレートとビット解像度で決まる。URX22Cは32bit・192kHz対応でハイレゾを超えるスペック
  • IFの本質的な機能はAD・DA変換。この点においてURX22Cも高価なIFも必要十分
  • 高いIFとの価格差はDSP・プリアンプ・付属プラグインなどの付加機能にある
  • 道具を揃えただけでいい音が手に入るほど甘い世界ではない。URX22Cでいい作品を作っている人はたくさんいる

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この記事を書いた人

せいいち先生
DTMは、まず手順。
センスや感覚は、その後でいい。
1人でも多くの人と、音楽の世界を歩きたい。
わからないことは何でも聞いてください。
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