「歌ってみたのマイクはコンデンサー一択」——そんな記事をよく見かけます。
現場歴30年のせいいち先生の見解は少し違います。
「間違いとは言わないけど、前提がすっ飛ばされているんだよ」。
今回はマイク選びにまつわる誤解を、現場の視点から丁寧に解きほぐしていきます。
- マイクとマイクプリ、どちらが音に影響するか
- チャンネルストリップとは何か
- 「コンデンサー一択」の前提とは何か
- バスタオルで録音環境を改善する方法
- マイクと口の距離で音はどう変わるか
- マイクのキャラクターとの向き合い方
- モデリングマイクという選択肢
マイクよりマイクプリの方が音の変化がわかりやすい
でもそれよりマイクプリの方が音が変わるかな。
マイクとマイクプリの組み合わせで考えることが大事でね。
マイクを変えるよりマイクプリやチャンネルストリップを変えた方が、音の変化がわかりやすいんだ。
マイクも大事。
でもマイクプリやチャンネルストリップを変えた方が、音の変化が体感しやすいという話だよ。
オーディオインターフェースのマイクプリについてはこちらも参考にどうぞ。
チャンネルストリップとは何か
アナログミキサーのEQまでのひとまとまりをイメージするといいかな。
ハードウェアとしても販売されているけど、DAWのプラグインとして本物を再現したものも多数あるよ。
マイクプリアンプ・コンプレッサー・イコライザーが一体になった音処理の流れのこと。
Neve・API・SSLなどの名機をプラグインで再現したものが現場でよく使われている。
でもチャンネルストリップで音がそんなに変わるんですか?
それだけチャンネルストリップの影響は大きいんだよ。
「コンデンサー一択」の前提がすっ飛ばされている
それは間違いなんですか?
コンデンサーは確かに高解像度な音が録れる。
でもノイズ対策とルームリバーブ対策がきちんとできていないと、ノイズだらけのトラックになってしまうことがあるんだ。
お風呂で歌うと声が響くよね?
ダイナミックマイクならその反射をあまり拾わないけど、コンデンサーだと拾ってしまうことがあるんだ。
最近グラミー賞でもベッドルームレコーディングが流行っていて、SM7B(ダイナミックマイク)で録音している作品も多いんだ。
それらの録音が低解像度で悪い音かというと、全然そんなことはないよね。
録音する部屋の反射音(ルームリバーブ)やノイズを適切に処理・吸音すること。
コンデンサーマイクはダイナミックマイクより感度が高いため、部屋の響きやノイズを拾いやすい傾向がある。
バスタオルで録音環境は変わる
ただコンデンサーほど目立たないかな。
まずノイズ源を遮断すること。
そして毛布やバスタオルで吸音するかな。
例えば冷蔵庫の裏側にかけるとか、エアコンの吹き出し口を覆うとか。
ノイズ源を直接覆ってしまうんだ。
色々試してみるといいよ。
ノイズ源の遮断:冷蔵庫の裏・エアコンの吹き出し口にバスタオルをかける
注意:マイクの周りに吊るすと吸音されすぎて変な音になることがある。色々試してみること。
マイクと口の距離で音のキャラクターが変わる
自分のマイクならオンマイクといって、口をグリルにあてて歌うスタイルもあるよ。
コンプ感や迫力が欲しいときはオンマイク。
空気感や透明感が欲しいときは握りこぶし一個分くらい離して歌うかな。
マイクなら大体同じ傾向があるよ。
水分に弱いし、感度がいいからクリップしやすいんだよ。
音が大きすぎて信号が処理できる限界を超えてしまうこと。
クリップすると音が割れて、録音データとして使えなくなる。
録音の実践的な手順についてはこちらも合わせて読んでみてください。
マイクはスーパードライか一番搾りかという違い
でもそれより伝えたいことがあってね。
SM58で録ればSM58っぽい音、AKGで録ればAKGっぽい音というだけの話なんだ。
スーパードライか一番搾りかという違いに似ているかな。
その日の気分だったり、つまみとのマリアージュを考えたりするよね。
マイクも同じで、声とマイクの相性を考えることが大事なんだ。
でもクロちゃんは今ドライしか知らない状態でしょ?
だったらまずドライをキンキンに冷やして飲んでみるとか、細いグラスで飲んでみるとか、料理に対するアプローチを探ってほしいんだよ。
1本のマイクでも距離を変えたり、吸音の仕方を変えたり、チャンネルストリップで音を作ったりすることでアプローチの幅は広がるからね。
まずは手元の1本を色々試してみてほしいな。
マイクスタンドの選び方も音に影響します。こちらも参考にどうぞ。
1本のマイクで38本分の音が出るモデリングマイク
でも将来的にもっと色んなマイクの音を試したくなったらどうすればいいですか?
モデリングマイクというんだ。
いろんなマイクの挙動をマイクとソフトウェアで再現していて、なんちゃってU87とかなんちゃってテレファンケンとかができちゃうんだ。
25万円くらいするかな。
私が使っているのはUniversal AudioのDLXで、APOLLO X6との組み合わせでないと使えないんだよ。
出張レコーディングが多いから、現場で最高のパフォーマンスを担保できるようにいろいろできるものを使っているんだ。
最後にマイクについて伝えたいことはありますか?
気に入らないということも一つの成長なんですよ。
- マイクは音が変わる。マイクプリやチャンネルストリップを変えると音の変化がわかりやすい
- チャンネルストリップ(マイクプリ・コンプ・EQのチェーン)はプラグインで再現できる
- 「コンデンサー一択」はノイズ対策・ルームリバーブ対策ができていることが前提
- バスタオルをノイズ源にかけるだけで録音環境は変わる
- オンマイクは迫力・コンプ感。離すと空気感・透明感。スタイルによって使い分ける
- コンデンサーはオンマイク不可。水分に弱く感度が高いためクリップしやすい
- SM58の音・AKGの音——どちらが良い悪いではなくキャラクターが違うだけ
- 1本のマイクでも距離・吸音・チャンネルストリップでアプローチの幅は広がる
- モデリングマイク(約25万円)という選択肢もある
- 最初は何でもいいから向き合ってみること。気に入らないということも一つの成長
「自分の声に合ったマイクを選びたい」「録音環境について相談したい」という方は、やさしいDTM道場で気軽に相談できます。
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